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■就業規則の変更について


■就業規則の変更手続

就業規則の変更の事務上の手続きは、就業規則の作成の場合と同様で、次のような手順で行います。
1.就業規則を変更する
2.労働者の意見を聴く
3.労働基準監督署長に届出する
4.変更後の就業規則を労働者に周知する

実際に就業規則を変更する場合の手順も就業規則作成の場合と同様に進めますが、変更後の就業規則が労働者に不利なものとなる場合は特に慎重に変更する必要があります。

(参考)
就業規則の変更手順について
1.情報収集(現状把握)
2.変更案の作成
3.労働者からの意見の聴取
4.就業規則の変更
5.労働基準監督署長に届け出する
6.労働者に対して周知する

■労働条件の不利益変更について

労働条件の不利益変更に該当するもので、労働トラブルに発生する可能性の高いものとしては、退職金の廃止や減額、賃金の計算方法を変更しその結果賃金が減額になる場合など、賃金に関するものが多いと思います。

就業規則の変更手続きに法令上の違反がない場合は、例え変更後の就業規則が、労働者に不利益なものであっても、一応有効な就業規則として取扱われます。

しかし、労働者の既得権を奪う変更後の就業規則が、個別の労働者に対する効力を有するか否かについては、最高裁判所は次のように判断しています。

秋北バス事件
就業規則の変更によって、労働者の既得権を奪い、労働者に一方的に不利益な労働条件を課すことは原則として許されない。
しかし、就業規則の不利益な変更が合理的なものである限り、就業規則の変更に同意していない労働者に対しても適用される。

なお、「合理的な変更」であるか否かについては、変更された就業規則の内容と必要性から判断することになります。

具体的には、最高裁判所が、次のような「合理性」の判断基準を示していますので、この基準を基に総合的に判断されます。

就業規則変更による合理性の判断基準(タケダシステム事件)
1.変更による不利益の程度
2.労働条件の改善状況と代替措置の有無
3.変更の必要性
4.労働組合との交渉経過
5.他の従業員の対応
6.他の会社における取り扱い
7.わが国における一般的な状況

(参考)
会社の危機的状況を回避する為に、やむを得なく不利益変更する場合は、労働組合(または労働者)との交渉を何度もおこない、労働者に会社のおかれている状況をできるだけ理解してもらうようにし、代替措置を設け、最終的には労働者全員と個別に面談して、全員から同意を得る(無理でもできるだけ多くの労働者から同意を得る)ようにするのが、労働トラブルを回避するポイントだと思います。

そして、労働者との交渉経過については、すべて書面にして客観的に証明できるようにしておく必要があります。

■労働条件を有利なのもにする

労働条件をより有利なものにすることは、使用者の努力義務として労働基準法に規定されています。

労働条件が有利なものになる場合には、誰も反対しないと思いますので、法令上の変更手順に添っていれば問題ありません。

しかし、一度有利な労働条件を定めてしまうと、次に元の労働条件のもどすのは労働条件の不利益変更に該当することも考えられます。

よって、労働条件を有利なものに変更する場合でも長期的な視野でよく検討することが大切です。
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