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■健康保険を使えない診療 


■健康保険を使えない診療

会社に就職して健康保険の被保険者となったときには、保険証が交付されます。
保険医療機関である病院の窓口にこの保険証を提示することにより、一定の負担だけで治療を受けることが可能です。

しかし、次の場合には健康保険被保険者証が使えませんので、注意しましょう。
このあたりは知識として知っておく方がよいので、簡単に書いておきます。

まず、健康保険を使えない診療は、大きく分けて2つあります。

・業務上、通勤途上の病気や怪我
・病気とみなされないもの

■業務上、通勤途上の病気や怪我

仕事が原因となって発生した病気・怪我では健康保険は使えません。
また、通勤途上の事故等により発生した病気・怪我については労災保険の給付を受けることができる場合はそちらが優先し、健康保険の給付は行われないことになっています。

・業務災害とは?
業務上の怪我は、作業中の怪我だけでなく、次のような場合にも業務災害と認められますが、実務上は、個々のケースに応じて判断されることになっています。

1.作業の準備中、後片づけの最中、待機中などの場合
2.トイレ、飲水など生理的に必要な行為による作業中断の間
3.業務命令がなくても自らの判断で業務上必要な行為を行ったり、火災や天災のときに施設の防護作業、同僚の救出活動などをしている場合
4.出張中の事故などの場合

業務上の病気については、判断が難しいものがあるので、労働基準法で特定の病気を掲げてそれらに罹患した場合に業務上としています。


・通勤災害とは?
労働者の通勤による負傷、病気、障害、死亡を通勤災害といいます。
通常は、通勤途上に発生した災害は通勤災害として保護されますが、すべての通勤途上の災害が保護されるわけではないので注意してください。
保護の対象となる「通勤」とは、労働者が勤務先の仕事に就くため、または仕事を終了したことにより、住居と就業場所との間を「合理的な経路、方法で往復」することをいいます。

通勤の途中で途中下車するなどして、その経路を外れたときは、その時から通勤とはされなくなりますが、日用品の購入など日常生活上必要な行為(短時間の中断)をするのであれば、その間を除いて、再び通勤経路に戻ったときから通勤とみなされることになります。(映画を見たりして長時間通勤を中断したときは再び通勤経路に戻っても通勤には該当しなくなります。)
なお、通勤経路を外れた間に起きた事故は、通勤災害に該当せず、労災保険の対象とならないため健康保険の給付対象となります。


■病気とみなされないもの

健康保険は病気等の治療を目的としているため、単なる疲労やけん怠、美容整形、正常な妊娠、出産など「病気とみなされないもの」は保険診療の対象になりません。同じく、健康診断やそのための検査、予防注射なども健康保険の対象になりません。

健康保険で病気とみなされないもの
・単なる疲労やけん怠
・降鼻術、二重まぶたの手術、ホクロ除去などの美容整形、近眼の手術など
・アザなどの先天的な皮膚の病気
・正常な妊娠や出産

※これらに該当する場合でも、特に仕事や日常生活に支障のあるものは健康保険の対象になります。(斜視で仕事に支障をきたすもの、他人に著しい不快感を与えるワキガ、後天的な女子の顔のシミ、口唇・口蓋の先天奇形、異常分娩など)


健康診断等
健康診断、結核健診、人間ドックなどは保険診療の対象とはなりません。


予防注射など
原則として予防注射は健康保険の対象にはなりません。しかし、ハシカ及び百日ぜきが流行し、同じ家庭内にまだ罹ったことがない人がいる場合は、その人に対して予防注射が認められます。
また、狂犬にかまれた場合は狂犬病予防注射、破傷風のおそれがあると医師が認めた場合は破傷風の予防注射を受けることができます。


経済上の理由による中絶
母体保護法では経済上の理由による中絶が認められていますが、健康保険では対象外となっています。
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