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■社長が業務災害で負傷しても健康保険は使えない? 


■健康保険と労災保険の隙間

小さい会社では、社長といっても椅子に座ってふんぞりかえっているわけにはいかず、従業員と同様の作業をしていることが少なくありません。

そして、実際に作業に従事している場合は、当然仕事中に怪我をする確率も高くなってしまいます。

しかし、社長は労働基準法上の労働者に該当しないために、特別加入していない限り、労働者災害補償保険法(労災保険)からの保険給付は受けることができません。(そもそも加入することもできません。)

労災保険が使えないとなると、健康保険で治療することになりますが、健康保険の保険給付の対象となるのは「業務外」で負傷した場合だけなので、このケースの場合だと健康保険で治療を受けることはできません。

よって、従業員と同様の作業をしている社長が、仕事中に怪我をしたときは、全額自己負担で治療しなければなりません。

軽い怪我の場合だと、治療費は安く済むので自分で負担することができるでしょうが、不幸にして大怪我をしてしまうと、とても負担できないような高額な治療費を払わなくてはならなくなります。

以前は、このようなケースの場合、労働基準監督署も社会保険事務所も法律どおりの運用だったので、結局泣き寝入りしなければなりませんでしたが、現在では当面の措置として、例外的に被保険者数が5人未満である適用事業所の法人の代表者(社長)等で、一般の従業員と同じような労務に従事している者については、事業の実態等を踏まえて、作業従事中におこった傷病に関しても、健康保険による保険給付を受けることができるようになりました。

※労災保険からの給付が行われる場合は、健康保険の給付の対象になりません。また、傷病手当金については支給されません。

(注意)
被保険者数が5人以上の法人の代表者(社長)等は、原則どおり、業務災害に罹災した場合については、労災保険からも健康保険からも給付をうけることができません。
よって、労災保険に特別加入したり、民間の損害保険に加入したりして、自己防衛する必要があります。
なお、労災保険に特別加入しても業務災害と認定されないケース(従業員が全員帰った後に社長1人で作業していて怪我した場合など)がありますので、注意が必要です。

(参考)
労災保険の特別加入について

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