労働トラブル事例とその対策について解説
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■欠勤後の有給休暇の振り替え認める必要はあるのか?


■労働トラブル対策

年次有給休暇は、一定期間勤務することにより、法律上当然に発生します。

しかしながら、労働者が、具体的にその権利を行使するためには、使用者に取得申請して有給休暇を取得する時季を指定しなければなりません。

そして、具体的な取得時季を指定しなければ、2年間で時効により権利は消滅してしまいます。

よって、事前に有給休暇を取得することを申し出ていない労働者が、欠勤した後に年次有給休暇扱いで処理してほしい旨の申し出をしてきたとしても、使用者は応じる義務もなく、また、応じなかったとしても違法になりません

しかし、急病等のやむを得ない理由で当日に突然休んだ場合は、事後に使用者に申し出することで有給休暇扱いにしている会社(そういった規定があるなしにかかわらず)で、普段から何かと反抗する労働者に対してだけは、「(違法でないので)事後の有給休暇の請求を認めない」と運用上異なった取り扱いをするようなことは認められません。

ようするに、運用上、理由によっては事後の有給休暇扱いを認めている会社で、理由によって判断するのでなく、その他の理由(上記の場合は、申し出のあった労働者が気に入らないという理由)により、事後の有給休暇の請求を認めないとするような使用者側の裁量権の濫用があった場合は、違法と判断されることになります。

結論としては、欠勤後の有給休暇の振り替えを認めるか否かは、使用者側の裁量によるものであり、労働者は権利として有給休暇の事後請求ができるわけではないということです。

ただし、くどいようですが、使用者側に裁量権の濫用があった場合は、違法と判断されることもありえるので注意が必要です。

(参考)
労働者とのトラブルを避けることを重視するのなら、就業規則に有給休暇を請求する日を前日までと定めておくのが良いと思います。
この規定があると、当日になって有給休暇を請求してきた労働者に対しては欠勤扱いにしても問題ありません。

しかし、この規定を厳格に運用すると、当日に急病になった場合など、やむを得ない理由であっても欠勤扱いにしなければならず、労働者の不満の種になる可能性もありますので、次の一文を追加しておきます。

「但し、前日までに請求できないとこについて、やむを得ない事由があると使用者が認めた場合に限り欠勤日を有給休暇に振替えることができる。」

そして、急病などの場合に限り、事後振替えを認めるように運用すれば、問題になることは少ないと思います。

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