労働トラブル事例とその対策について解説
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■会社の車で事故した従業員に修理費を負担させることはできるか?


■労働トラブル対策

結論から言いますと、従業員の過失で会社の車(会社の備品)をぶつけて壊した場合は、その従業員に修理費を請求することは問題ありません。

ただし、会社も労働契約に基づき、社用車を使用して従業員に業務に服することを命じている以上、従業員の過失で車を壊すことは予期できる範囲の問題であり、損害を公平に分担するという考え方から、修理費の全額を負担させることはできません

具体的な請求額については、実際のケースにより異なってきますが、私自身の考えでは、バンパーを擦った程度のキズで修理費を負担させるのは、従業員に酷なように思います。

従業員の過失の程度が多少重い場合でも、保険で修理して免責金を従業員に支払ってもらう程度が一番良いのではないかと思います。

いくら従業員に過失があるとしても、あまり過大な負担を強いると、本人だけでなく他の従業員も萎縮してしまい、思い切った仕事ができなくなることにつながりますので、負担してもらう金額については、慎重に決定する必要があります。

なお、従業員の過失の程度が大きい場合は、始末書を取り、厳しく指導しておくことが重要です。

あと、修理費を従業員に負担させる場合の注意点ですが、賃金から修理費を勝手に差し引いて支給しますと、賃金全額払いの原則(労働基準法第24条)違反になってしまいます。
そこで、従業員から直接修理費を返してもらわなくてはいけないのですが、一番確実な方法は、給料を銀行振込にしている場合でも、その月だけは現金支給にし、支給したその場で渡した給料の中から修理費を返してもらことです。

この場合は、一度全額を本人に支給している以上、労働基準法違反にはなりません。

(参考)
入社時に「会社の備品を壊した場合は、全額弁償する。」と決めていれば全額徴収できるのではないかという質問をたまに受けることがありますが、労働基準法で損害賠償を事前に予定する労働契約をすることが禁止されています。(労働基準法第16条)

よって、例え「会社の備品を壊した場合は、全額弁償する。」という契約を労働者と合意の上で締結していても無効になります。

しかし、この規定は、損害賠償の額をあらかじめ決めておくことを禁止しているだけなので、現実に発生した損害について、労働者に対して賠償請求することは問題ありません。

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