労働基準法の基礎知識について解説
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■労働基準法の基本的原則


■労働条件の原則(法第1条)

■労働条件の理念

労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければなりません。

■労働条件の低下の制限
労働基準法で定められている労働条件の基準は最低のものです。
よって、使用者は、この基準を理由として労働条件を低下させることはできず、より向上を図るように努力する必要があります。
なお、労働者との合意があっても低下する事はできません。
ただし、社会経済情勢の変動等による理由があれば低下する事はできます。

■労働条件の決定(法第2条)

労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場で決定しなければならず、労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければなりません。

(参考)
労働協約 使用者と労働組合の間で取り交わされる書面による協定です。
よって労働組合が存在しない会社の場合は締結することはできません。
就業規則 使用者が作成する会社の労働条件を定めた規定集です。
労働契約 使用者と労働者の間で取り交わされる労働条件に関する契約です。

■均等待遇(法第3条)

賃金、労働時間、解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎等に関するすべての労働条件について、労働者の国籍(人種差別も含む)、信条(特定の宗教的、政治的信念)又は社会的身分(生来の身分)を理由とする差別的取扱を禁止しています。
ただし、採用に関する差別は含まれないと解釈されており、労働者は会社に採用されてから、労働基準法の保護をうけることになります。

■男女同一賃金の原則(法第4条)

労働者が女性であることを理由として、男性と差別的取扱いをすることは禁止されています。
なお、女性であることを理由とした差別を禁止しているので、職務、能率、技能、年齢、勤務年数等による個人的差異により結果的に、賃金に差がつくのは問題ありません。
また、差別的取扱いには、女性であることを理由として不利に扱う場合でなく、有利に扱う場合にも含まれます。

■強制労働の禁止(法第5条)

暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制することは禁止されています。
なお、必ずしも違法な手段での強制労働を禁止しているだけでなく、社会通念上不当な手段で労働を強制すれば、この規定に違反する場合もありえます。
また、「労働者の意思に反して労働を強制」とは、労働者の意思に反して労働を強要すれば該当し、実際に労働したかどうかは問題ではありません。

(参考)
この規定に違反した場合は、労働基準法上最も重い罰則が科されています。
1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金

■中間搾取の排除(法第6条)

何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得ることは禁止されています。
この規定は、許可なしに使用者と労働者の間に介入し就職斡旋し手数料を得たり、労働者の賃金をピンハネしたりすることを禁止する趣旨です。
「法律に基いて許される場合」とは、職業安定法による有料職業紹介事業などが該当します。

■公民権行使の保障(法第7条)

使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合は、拒むことができません。
ただし、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することは問題ありません。
この規定は、労働者が、使用者との労働契約に拘束されて、選挙権等の公民としての権利や公の職務を執行することを阻害されることのないように定められています。
なお、労働時間中に公民権を行使したために、就業しなかった時間分の賃金については、無給でも有給でもよく当事者の自由に委ねられています。

(参考)
公民権の行使に該当するもの 公民権の行使に該当しないもの
選挙権、被選挙権の行使 個人的な民事訴訟
特別法の住民投票
憲法改正の国民投票
民衆訴訟

公の職務に該当するもの 公の職務に該当しないもの
国会議員としての職務 非常勤の消防団員の職務
民事訴訟の証人
選挙立会人

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